あとで名づけるものがたり

たかはるのTRPGセッションログ。あらすじ、シナリオ、キャラ紹介など。いっしょに遊んでくれた人が、よそのセッションはどんな感じかな?って見れるようなブログ。TRPG沼もっとひろがれ。スマホ表示は見づらいのでpc表示をおすすめします(おすしも回るし)

3話『忌子が生きていくという事』

scenarchにて公開中のオリジナルシナリオ『忌子が生きていくという事』を作って身内卓で回したときのことを書きます。このセッションを境に、身内卓の皆がぐっとソドワにハマってくれた気がします。

 

シナリオの流れは公開してるものとほぼ同じなので、導入と顛末だけ書くつもりです。というかオフセで録音もしてなかったので要所しか思い出せない...

↓シナリオはこちら。無料です

scenarch.com

 

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クラウス

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ノワール

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ジーナ(picrew「レトロ風メイドメーカー」byプラチナ氏にて作成)

  当時、『エルフとケンタウロスの愛歌』というギャグオチシナリオに続くお話でした。しかしナイトメアのエリザが過去のイジメの経験から人間のロサとイマイチ仲良くなれてなかったので、「せっかくならナイトメアに焦点を当てたシナリオを作ってみよう」と思い立ったのがはじまりでした。

 といったものの、自分も「ナイトメアの差別」って何なのかよくわかっておらず、とりあえず辛く当たられるんだろうな的なふわっとした認識で当時やってました。「GMもよくわかんないから皆も色んな立場で考えてみよーぜ!」的な

 

 何度か回して色んなPCに会ったり、リアル世の中の情勢が悪くなっていくのを見てたりするうちにちょっと何となくわかってきました。差別する側にはそれっぽいこじつけを本気で言っちゃってる人がいることとか、なんだかよくわからんからなんにも言えん人とか色々いると思います。

 

 単発だったらナイトメアを差別する側に立つPCを作ってくれる人も居たんですけど、このときはキャンペーンだったので、ナイトメア嫌いの人は当然いません。いませんが、それぞれ違った考え方が出てきて面白かったな~

参加キャラクター

エリザ(PL:loly氏)

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リルドラケン生まれのナイトメア。人里に下りて希望に満ちた学校生活を送るつもりだったはずが壮絶ないじめに遭って以来、特に人間に対しては心を閉ざしていました。当時ロサとぜんぜん打ち解けてなかった

ロサ(PL:余白氏)

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貴族育ちの純粋な少女。ナイトメアの差別について、知識として知っていても実感がなく、ある意味で最も中立な意見を出してくれました

ポーレ(PL:西雀O太氏)

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ルーンフォークの青年。顔半分がメカメカしい。彼も起動して15年間は貴族の屋敷の中で生活し、ナイトメアの差別とは無縁の道を歩んできた。社会派な視点を持っているので、そのへんからこの問題に触れてもらいました

イェルム(PL:芋メガネ氏)

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何気にこのシナリオが初参加。正確には途中合流でした。以降レギュラーメンバーとして参加してくれてます。別卓から連れてきてくれたキャラらしく、そっちの話はいまだに聞いてないので今度聞かせてください

クッカ(PL:杢人氏)

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以前の「蛮族包囲網を突破せよ!」で使用したキャラクターで継続参加してくれたグラスランナーの投げぐらっぷらー。グラスランナーらしい経験談で以てクラウス君を説得してくれました。

 

↓蛮族包囲網

takahaltrpg.hatenablog.jp

 

導入

 2話を終えて微妙に方向性が固まってきたPCたち。ルーフェリアに暮らす冒険者として、日常風景を描写しつつシナリオテーマを挟みます。(イェルムとクッカは依頼を受けたあとPL合流したので導入はなし)

・ポーレ

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 酒場のワンシーン。ポーレが蛮族剥製博物館を作ろうとしているという噂を聞きつけて、見るからに悪徳成金ゲス野郎みたいなやつが声をかけてきた。

「蛮族の剥製展示だって?すごく良いと思うぜ。ただ、それだけじゃ人が集まらねぇ。ナイトメアの娼館も併設しよう。奴らも穢れ持ちだが見た目は人とほぼ変わらねぇし、男女とも顔にハズレはねぇと来てる。蛮族の剥製なんて悪趣味なモンを見に来るやつらなら、ついでに金と劣情もぶちまけてくれるだろうよ。冒険者になって命を危険にさらす以外の道を奴らに作ってやるんだ。素晴らしい慈善事業だろ?

 

仲間にナイトメアのエリザがいるポーレ。流石に怒ったのか、笑顔は絶やさずもルーンフォーク特有のゴリゴリの握力で相手の手を握り砕きました。

「ななんなんだよ!?訳が分からねぇぜ、趣味が合うと思ったのによ!」

(前半の部分はどう思ったんだろうか...こっちも十分に悪趣味だと思います)

ナイトメア差別の一端に触れたポーレは物語の果てにどんな答えを出すのでしょうか...

 

・エリザ

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 ナイトメアであるせいで困ることがあるのなら、魂の穢れを取り除けばよい。そう考えたエリザは街の中央図書館へ向かいました(ファンタジー世界って図書館あるのかな)。

エリザの専門である操霊魔法の分野から調べられないかと本を漁りテーブルについたとき。向かいにいる青白い肌の少女剣士が目に留まります。

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ベックさん。同じルーフェリアで活動するナイトメア仲間ということで出してみました(別卓PC同士がちゃんと話に関わってるの好きなんです)。

彼女も操霊術の初歩の本を手にしていますが表情は険しく、1ページ目から躓いているようです。見かねたエリザが助け舟を出してやると、

「なるほど!?ありがとう、魔法詳しいんだね!私は魔法ぜんぜんわかんないだけど、友達がね、穢れを取り除きたいって言っててね...友達がね!」

「私も目的は同じ。良かったら一緒に探しましょう」

お互いに察したふたりは図書館でしばらく過ごしますが、穢れを取り除く方法は見つかりませんでした。

 

ナイトメアを扱うシナリオですが、当事者はどう考えるんでしょう。エリザがどんな答えを出すのか、この時には全く分かりませんでした。

 

・ロサ

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 1話で助けた、スラム街のグラスランナーチップくん。悪事に手を染めるのではなくちゃんと働いて身を立てようと決意し、『雷雨に遊ぶ鳥亭』所属のスカウトとして働き始めました。

takahaltrpg.hatenablog.jp

 

  チップくんがお仕事を頑張っている間、スラムのおチビたちに読み書きを教えてやってくれないか、と頼まれたロサ。とりあえず自分の名前を書くことを教えるところから始めます。

青空の下額を寄せ合って、棒で地面に名前を書く子どもたち。その輪から少し離れたところで、最近スラムに仲間入りしたと思われるナイトメアの少年がじっと見ています。

それに気づいたドワーフの少年が声を掛けます。

「おまえ、そんなとこで何してんだよ?もしかして角があること気にしてんの?おれなんか10歳だけどヒゲ生えてきてんだぜ!」

「さっさと来いよ!」

 

そんなやり取りを眺めていたロサ。彼らと同じく無垢な目にはナイトメアの差別というテーマはどう映るのでしょうか...

 

展開

上述の通り展開はシナリオページに載ってるのと同じです。

 イェルムとクッカはPLがリアルに途中参加だったので、依頼を受けた時点でPTへ参加。フェローとしてアンとベックが同行し(戦闘中魔物知識や先制判定してた)、蛮族戦はクッカの投げがいい仕事をしていたり、イェルムが「足狙って転倒させるとかできません...?」→GM「フッ、ルール的に×だが嫌いじゃない、6ゾロならいいよ」→6ゾロ とか、いい盛り上がりでした。

 (↓アン 相変わらずヒーラー不足パだったので割と重要だった)

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 そして、人族社会に残るかダークナイトと共に蛮族社会へ行くか迷う少年、クラウスの説得シーン。印象的だったPC達のセリフを載せておきます。

 

ノワールとともに蛮族の国に行くか、それともエリザのリルドラケンの村に行くか、すべてはクラウス、キミの自由だ。だから見ていてくれ、此処でのオレたちとノワールの戦いを。君はどちらの心と一緒に行くのか。

(ポーレ)

 旅の途中で出会った人たちの中には、ご飯をくれる人もいたし、こっちを見もせずに去っていくこともあったよ。だから種族関係なく良い人も悪いひともいるんじゃないかな?

(クッカ) 

 思い浮かべて。あなたにとっての大切な人。それが思い浮かぶのなら、あなたはその人といたほうがいいわ。

(エリザ)

 

 

 

 主犯のダークナイトノワールとの対峙シーンでは皆それぞれ考えながら、それぞれの言葉を紡いでくれました。こちらもいくつか載せておきます。

 

 わたしは最近まで差別というものを知らなかった。だから、あなたを見ていてわからないこと、不思議なことがある。あなたの角や肌を見て決めつけ忌み嫌った人たちと、差別された経験からひとくくりに人を嫌うあなたと、一体なにが違うの?

(ロサ)

 

 私も人里に出て差別された経験があるから気持ちはわかる。でも、だからといって殺すのは蛮族となんら変わりないわ。人族としてのあなたは、あの村で死んでいる。同族のよしみで見逃す代わりに、二度と人族にかかわらないで。

(エリザ)

 

 お金くれるんなら蛮族領へだってついていきますぜ旦那!

(イェルム)

 

イェルムぅ......

 

 PC達が出した答えは、「ノワールを見逃す」でした。エネミーデータも組んでたけど、PCが悩み抜いて出してくれた答えならそれに応えましょう。そのおかげで、ノワールが「たぶんまたいつか立ち塞がるライバルになるんだろうな」って立ち位置で、このキャンペーンに大きな味を持たせてくれています。

 

エピローグ

 子どもたちを連れて先に戻ったアンとベックになんとかごまかしつつ、クラウスとジーナ(死体)を連れて帰還。

 クラウスは知見を広げる為、そして生きていく為に魔法の腕を磨くことに。お金は残っていたので魔法学院に入ることにしました(次々話でもう飛び級卒業しちゃうんですけど)。

 ジーナの蘇生後消えた記憶については、「実は1年間一緒に冒険者だったんだけどヘマして死んじゃったんだよねてへぺろ!」と説明してました。空気が重かったからね......今なら本当のことを話してもよさそうです。クラウスが寮に入ってしまったので、ジーナは雷雨に遊ぶ鳥亭の受付嬢をすることになりました。以来マスターが一切出てこなくなった。

 

GMの感想

 このセッション以降、スポットを当てるPCを決めて一人ずつ掘り下げていくスタイルになりました。キャラを作ったときには分らなかった、「このキャラはこう考えるんだ」というのがわかっていくのは見てて楽しいしやっても楽しいよね。

 この話で出てきたNPCは皆気に入っていて、全員がキャンペーンシナリオに深く関わっています。GMにとっても重要なセッションだったし、自分の中でかなり特別なシナリオになっています。もし別卓でプレイした人がいたら、クラウスやノワールになんと声をかけたか是非教えてほしいです!

 

おわり!

 

5.